No.14 秘密にされた預言（1474年9月）
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**ムリ！ [#q9cf2e7f]
「なんですと！」
第69代ヴェネツィア共和国ドージェ（元首）ヴィターレ・スガ...
来訪者を前に思わず叫んだ。
来訪者はサンマルコ寺院の司教である。
昨日（1474年9月10日）のフリウリ制圧を受け、「祝辞」という...
訪ねてきた。
ドージェの側でも『助言』を実現させたいま、新たな『助言』...
とは予想していたのだが・・・
サンマルコの司教はとても正気とは思えない『預言』を述べた...
&color(olive,white){''【けんか売る気？】''};
#ref(./147909_けんか売れと.JPG,90%)
「『ブレシアを支配する必要があります』って、ブレシアがど...
司教だって知らないわけはないでしょう！」
スフォルツァは、壁にかかった地図を指差した。
&color(olive,white){''【赤丸がブレシアの位置です。】''};
#ref(./147411_版図.JPG,70%)
「ヴェネツィア共和国軍16,000人に対して、オーストリア軍の...
同盟国の軍隊全部を集めても到底敵う相手ではない。
それは本当に神の意思ですか。聞き違いではないのですか。」
「我らは神の声を伝えるのみ。そして、どのような声であって...
役目です。」
司教は困り顔で答えた。
そのとき側近が口を挟んだ。
「その『助言』には一つ気になるところがありますね。」
「ん、なにかね。」
「''『ポー平原を北上！』''とありますが、ブレシアの位置は...
『西進せよ』なら意味が通じますが、なぜ『北上』なのでしょ...
「確かに・・・。」
「これまで『助言』は非常に長期の方向性を示してきました。
『北上』とあるからには、まずブレシア南方の都市を領土とし...
北上することを示唆しているのではないでしょうか。」
ブレシア南方にはピサ、シエナと比較的小規模の国家が存在し...
「なるほど・・・そのうちはと・・・。」
「だが、我らの真意がオーストリアに漏れては非常にまずい。
この『助言』は十人委員会で政策に反映させるのをやめよう。
長期的な方針はドージェの申送事項にするとともに、
ドージェ交代時にはサンマルコ寺院からも伝えることとし、
後世のドージェに国の方向性を必ず伝え、長きにわたり神の意...
翌日の十人委員会で、スフォルツァは新しい方針として、
旧アクイレイア領の地方の安定化を図るべく、常駐軍を配備す...
留めた。
ミッションが達成された後は、長期的な展望をドージェから示...
その内容に委員は拍子抜けしたが、領土の安定化はもっともな...
あまり不信感も持たなかった。
のちにオーストリアは、ヨーロッパ随一の陸軍大国に成長する。
小国ヴェネツィアの成長は、拡大する北方の超大国に立ち向か...
いかにしてつけるか、という無謀かつ遠大な挑戦から始まった。
北にオーストリア、南にオスマンと大国に挟まれたヴェネツィ...
それは決してたやすい道のりではなかった。
----
&size(15){次話「[[No.15 産業構造の転換期（1470-80年代）]]...
&size(15){前話「[[No.13 フリウリ征服戦争（1466年3月-1474...
&size(15){タイトル「[[アドリア海の女王]]」にもどる};
終了行:
**ムリ！ [#q9cf2e7f]
「なんですと！」
第69代ヴェネツィア共和国ドージェ（元首）ヴィターレ・スガ...
来訪者を前に思わず叫んだ。
来訪者はサンマルコ寺院の司教である。
昨日（1474年9月10日）のフリウリ制圧を受け、「祝辞」という...
訪ねてきた。
ドージェの側でも『助言』を実現させたいま、新たな『助言』...
とは予想していたのだが・・・
サンマルコの司教はとても正気とは思えない『預言』を述べた...
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「『ブレシアを支配する必要があります』って、ブレシアがど...
司教だって知らないわけはないでしょう！」
スフォルツァは、壁にかかった地図を指差した。
&color(olive,white){''【赤丸がブレシアの位置です。】''};
#ref(./147411_版図.JPG,70%)
「ヴェネツィア共和国軍16,000人に対して、オーストリア軍の...
同盟国の軍隊全部を集めても到底敵う相手ではない。
それは本当に神の意思ですか。聞き違いではないのですか。」
「我らは神の声を伝えるのみ。そして、どのような声であって...
役目です。」
司教は困り顔で答えた。
そのとき側近が口を挟んだ。
「その『助言』には一つ気になるところがありますね。」
「ん、なにかね。」
「''『ポー平原を北上！』''とありますが、ブレシアの位置は...
『西進せよ』なら意味が通じますが、なぜ『北上』なのでしょ...
「確かに・・・。」
「これまで『助言』は非常に長期の方向性を示してきました。
『北上』とあるからには、まずブレシア南方の都市を領土とし...
北上することを示唆しているのではないでしょうか。」
ブレシア南方にはピサ、シエナと比較的小規模の国家が存在し...
「なるほど・・・そのうちはと・・・。」
「だが、我らの真意がオーストリアに漏れては非常にまずい。
この『助言』は十人委員会で政策に反映させるのをやめよう。
長期的な方針はドージェの申送事項にするとともに、
ドージェ交代時にはサンマルコ寺院からも伝えることとし、
後世のドージェに国の方向性を必ず伝え、長きにわたり神の意...
翌日の十人委員会で、スフォルツァは新しい方針として、
旧アクイレイア領の地方の安定化を図るべく、常駐軍を配備す...
留めた。
ミッションが達成された後は、長期的な展望をドージェから示...
その内容に委員は拍子抜けしたが、領土の安定化はもっともな...
あまり不信感も持たなかった。
のちにオーストリアは、ヨーロッパ随一の陸軍大国に成長する。
小国ヴェネツィアの成長は、拡大する北方の超大国に立ち向か...
いかにしてつけるか、という無謀かつ遠大な挑戦から始まった。
北にオーストリア、南にオスマンと大国に挟まれたヴェネツィ...
それは決してたやすい道のりではなかった。
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&size(15){次話「[[No.15 産業構造の転換期（1470-80年代）]]...
&size(15){前話「[[No.13 フリウリ征服戦争（1466年3月-1474...
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