*ロンバルディア征服戦争参戦(1400年11月-1403年1月) [#v2d703c9]

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**現在進行中のミッション [#d091d25f]

-イタリア本土の領土を拡大!(ヴェローナ攻略)

**ヴェネツィアからの使者 [#v5ea277a]

ヴェネツィア共和国第62代ドージェ(元首)アントニオ・ヴェニエルは、モレアの野営地にて
ヴェネツィアからの使者と面会していた。
ドージェにして共和国唯一の将軍でもあるヴェニエルは、昨年アカイアに侵攻してきた
ビザンティン帝国軍を叩くため、拠点となるモレアを攻略中だったのだ。

「オーストリアがミラノに侵攻したか・・・」
ヴェニエルは苦虫を潰したような顔をした。
「我が国がミラノと事を構えるにはまだ早すぎる。
だからこそミラノとの関係を良好に保つよう配慮してきたのだ。
いま、参戦すれば安定度が落ちてしまうではないか。」

&color(olive,white){''【長いものに巻かれるべきか?】''};

#ref(./140011_ミラノ戦参戦要請.JPG,70%)

「恐れながら、ドージェ。」
使者として派遣されてきた智謀家アンドレア・ロメリーニは答えた。
「ここでオーストリアと同盟を切れば、今後我が国は北からの脅威に晒されることとなります。
ましてやヴェローネをオーストリアに取られるようなことがあれば、
あの強国を敵にまわさねばなりません。」

オーストリア陸軍は、兵力だけでも4万を誇っている。
明らかに欧州における最強陸軍の一つであり、オーストリアを敵に回すのは自殺行為に
等しかった。

「我らに選択肢などないということか。
せめてできるのは、一日でも早くヴェローナに入り、オーストリアに領土割譲権を
渡さないことしかあるまい。
しかし、我が国は全軍がここモレアに集結しており、コグ船をまわしてヴェネツィアに
戻るには時間がかかる。一体どうすれば・・・」

「ドージェ不在の中ではございましたが、緊急事態でしたので、
本国にて智謀家のニコロ・コンタリーニ様が十人委員会を招集され、
傭兵部隊を2個連隊雇用することを決定しております。」
「ふむ。では、そなたは一足早く本国に帰り、傭兵が集まり次第ヴェローナに出兵するよう
十人委員会に諮れ。」
「分かりました。」

かくして、ヴェネツィアはロンバルディア征服戦争(正式名:オーストリアによるロンバルディア征服)に
参戦することとなった。

**市民の楽観的観測 [#sfb2b5d8]

「あのオーストリアが『戦費援助』をしてよこすとは。」
ヴェネツィア市民の間では、最近その話題で持ちきりである。
オーストリアは、自国についた見返りとして毎月4ドゥカートもの資金援助を行う、と
通知してきたのである。

「先月支払った傭兵料20ドゥカートを差し引いても儲けたな。」
「あの国は意外とお人好しなのかもしれない。」

実はニコロ・コンタリーニがオーストリアに密使を送り、
出兵と引換えに『軍事援助』を送るよう泣き付いたことを一般市民は知らない。
ミラノ北方軍1万に匹敵する軍隊をヴェネツィアに用意できる資金はなく、
取れそうな金はどこからでももぎ取ってこなければならなかったのだ。

&color(olive,white){''【これでも焼け石に水。】''};

#ref(./140012_戦費援助.JPG,80%)

年明けにはロンバルディアでオーストリア軍1万vs.ミラノ北方軍1万の大会戦が見込まれており、
このまま両国が潰しあってくれれば、隙をついてヴェローナをとれるのではないか、
という楽観的観測がヴェネツィア市民の間に広まりつつあった。

**攻撃 [#cfa32020]

「ドージェ、ミラノ北方軍はトレヴィザーノに向けて進軍を開始いたしました。」
1401年11月、ヴェニエルは副官の報告をフェッラーラで受けていた。

1401年前半、ミラノ北方軍はオーストリア軍にロンバルディアとブレシアで立て続けに破れ敗走、
同年6月にヴェローナへと軍を進めた。
ヴェネツィア共和国軍4千人はこれを迎え撃ったが、士気が低いとは言えまだ8千は残る
ミラノ北方軍に勝つことはできず、同盟国フェッラーラに逃げ込んでいた。

その後ミラノ北方軍は、ブレシア包囲中のオーストリア軍を攻めてはヴェローナに戻ってくることを
繰り返していたが、ついに戦略を転換し、ヴェネツィア北部の都市トレヴィザーノに向け、
進軍を開始したのである。

「トレヴィザーノ駐留の傭兵部隊の退却は間に合わないでしょう。」
副官の報告は、1連隊がまた全滅することを意味していた。

「建国史にあるよう、首都ヴェネツィアのラグーンに立て篭ればミラノは攻略できまい。
だが、トレヴィザーノを放っておくわけにもいかない。
やむを得ぬ。副官、十人委員会に使者を送り騎兵部隊を6千、歩兵部隊を2千
あわせて8千の傭兵の雇用を決議するよう、早船を送れ。」
「ドージェ、いまの我が国にそのような資金がないことは、ヴェネツィア市民ならば
3つの子どもでも知っていることでございますが・・・」
「借款というものがあるではないか。もはや借金を厭うている場合ではあるまい。」
「・・・」
「我が部隊もヴェネツィア海経由で帰国する。私より後に使者が到着したら承知せぬ。」
「かしこまりました。」

傭兵部隊を集めるには時間がかかり、陥落寸前のトレヴィザーノにヴェネツィア共和国軍
1万が援軍を派兵したのは、1402年4月に入ってからだった。
激戦の末、1ヵ月後にぎりぎりのところで勝利したヴェニエルは、
ヴェローナに敗走するミラノ北方軍の追撃を命じた。
ミラノ北方軍に抵抗する気力は残っておらず、5月27日、ミラノ北方軍は全軍が降伏した。

&color(olive,white){''【全滅!】''};

#ref(./140205_ヴェローナ.JPG,80%)

**苦い教訓 [#e1e493d7]

「まだ落ちぬのか。」
ヴェニエルは苛立ちを隠せずにいた。

昨年5月以降、共和国軍はヴェローナを包囲していたが、いまだ落ちていない。
ミラノ北方軍を全滅させた今、脅威となる敵は存在せず、ヴェローナ取得の最大のチャンスである。
そのためには、オーストリアよりも先にミラノと講和条約を締結する必要があった。

だが、オーストリア軍は東方のロンバルディアとブレシアをすでに陥落させており、
ミラノと講和を結ぶのは時間の問題であった。

「砦の守りが堅くまだ落ちません。」
「傭兵部隊はこの戦いが終われば解雇するのだ、兵力の減少を気にする必要はない。
突撃を命じよ。」

1403年1月15日、ヴェネツィアは総攻撃の末、ヴェローナを陥落させた。

「ドージェ、残念なお知らせがございます。」
陥落翌日、講和交渉のためヴェローナを訪れていたニコロ・コンタリーニが切り出した。
「ヴェローナを落としただけでは、ヴェローナを取得することはできません。」

「なぜだ。」
「ヴェローナ陥落の戦勝ポイントは13、ヴェローナ取得に必要なポイントは30です。
戦況がいくら我らに有利とは言え、ここまで点差が広がっていては、ミラノは要求を受け入れないでしょう。」
「・・・」

&color(olive,white){''【土地代高いっ。】''};

#ref(./140301_ヴェローナとれず.JPG,80%)

「ですが、同盟上位国たるオーストリアが講和を結ぶのは時間の問題。
『賠償金』『通商同盟への参加』ならば要求を受け入れるでしょうが、いかがいたしますか。」
「このたびの出兵の目的は、オーストリアにヴェローナを獲得させないことにあった。
先に我らが手を引き、オーストリアがヴェローナを獲得したのでは意味がない。
ここはオーストリアに手柄を渡すしか仕方あるまい。」

1403年1月28日、オーストリアとミラノの間に講和条約が成立した。
これにより、オーストリアはブレシアと99ダカットの賠償金を取得。
ピサが主権国家として独立した。

今回の派兵はヴェネツィアに「ヴェローナへの道は遠い」という教訓を長く残すこととなった。

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TIME:"2010-09-04 (土) 16:49:04"

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