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両国の思惑

1435年4月、十人委員会はハンガリーへの出兵について大揉めに揉めていた。 同盟国ボヘミアより早馬が到着し、ハンガリーへの侵略を支援してほしいとの要請が届いたのだ。

「ハンガリーは同じカトリック国。我らに大義はなくこのような戦争に手を貸すべきではない。」 「我が国はオスマン帝国から警告を受けて以来、出兵兵力はあるにも関わらず、 身動きが取れずにきた。 ボヘミアからの誘いは、オスマンに邪魔されずアドリア海東岸に 同盟港を増やすいい機会ではないか。」 「連中にはフランスがバックについているのだぞ。 奴らと戦争して勝てるわけがない。」 「オーストリアはフランスに通行許可を出していない。 我が国を攻めることなどできぬ。」

【参戦すべきか?】

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ひとしきり議論が交わされた後、第65代ドージェ(元首)アンドレア・サン・パウロ コロンナは言った。 「このままおとなしくしていても我が国の発展はない。 責任は私が持つ。この戦争に参戦しよう。」 こうして、ボヘミアによるハンガリー侵略戦争にヴェネツィアは参戦することになった。

だが、ヴェネツィアがヴェネツィア本国からゼタに軍隊を展開させている間に、 ボヘミア軍はハンガリーのエルセクジュヴァールを陥落させた。 1435年7月、短期決戦を当初から決め込んでいたボヘミアは、 エルセクジュヴァールの割譲を条件にハンガリーと講和条約を結んだ。

【分け前ぐらい・・・】 ※青丸内がエルセクジュヴァール

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「なんの成果も得られず、ただ国が混乱しただけだ。」 ヴェネツィア市民は悪態をついたが、これはほんの序章だということに ほとんどの者は気づいていなかった。

青き悪魔

「トレント方向に敵影! 数2000です!」 1435年8月、トレヴィザーノの砦に衝撃が走った。 なんとフランス軍が攻めてきたのである。

【そんなばかな。】

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「オーストリアはフランスに通行許可を出していなかったはずではないか。 見間違いではないのか!」 外交官は直ぐに事実をオーストリアに確認したが、やはり通行許可は出されていなかった。 「フランスは、ヨーロッパは自分の庭だと豪語しており、 通行許可などなくとも自由に闊歩できるとのことです。」 「そんな・・・ばかな・・・」 「ドージェ、お気を確かに。ひとまずトレヴィザーノに守備隊を配置してください!」 「分、分かった。ヴェネツィア駐留軍はトレヴィザーノへ急行せよ。」

1万の兵力を急行させたおかげで、とりあえずフランス軍は進軍を止めたが、 安心はできなかった。 「我が国のように都市が点在している国では、勝敗は最終的には海防力で決まる。 『海軍徴兵法』を施行する。」 1436年3月、コロンナは、全国から屈強な男を海軍に集められるよう新法を成立させた。

【海軍徴兵法】

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法令施行と前後してトレヴィザーノにフランスの大軍が攻め込んだ。 1436年4月、ヴェネツィア軍は「トレヴィザーノの戦い」に敗北した。

「全軍ヴェネツィアのラグーナに退避! 浅瀬を判別する杭を全て抜け! 我が海を知らぬ者どもをラグーナに近づけるな。」

ヴェネツィアは複雑な干潟の上に作られた都市で有名である。 杭を抜いてしまえば船の通れる場所などよそ者には分からず、 フランス軍は追撃のしようがなかった。 陣地を築く方針に変更したフランス軍に、トレヴィザーノはあっという間に包囲された。

このような事態に陥れば、もはやコロンナはヴェネツィア市民の支持を得られなかった。 5月の選挙でコロンナは軍人系候補者に破れ、 第66代ヴェネツィア共和国ドージェ(元首)としてドメニコ・マーニョ スフォルツァが選出された。

スフォルツァは、いったんはトレヴィザーノのフランス軍を追い出すことに成功したが、 25000人のフランス軍が引き返して来ては、10000人の共和国軍で迎え撃つのは もはや不可能であった。

「ラグーナにこもり、相手が消耗するのを待とう。」 スフォルツァは言うと、ヴェネツィアから一歩も出ない戦略をとった。

1436年10月、陸路を完全に封鎖されたヴェネツィアに、 さらに追い討ちをかける事態が起こった。 「ドージェ、オーストリアがボヘミアに宣戦布告いたしました。」

(No.9に続く)

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