十五世紀のはじめ、あるムスリムの率いる大艦隊がマラッカ王国、現在のマレー半島に来航しました。
ムスリムは中華帝国の使者で、自らを鄭和と名乗りました。
鄭和はマラッカの王様に告げました。
「アッサラーム・アライクム。
私とあなたはともにアッラーを信じる同胞です。 私ははるか遠くから来ました。 そしてはるか遠くまで行くでしょう。
私の目指すのはメッカです。
私はかならずそこへ辿り着き、また帰ってくるしょう。
約束しましょう。 帰り道にあなたたちの王国に寄航して、 私は、メッカの情緒ある情景や南洋の珍しい動物などをあなたに話して聞かせます。 きっと聞かせます。
約束ですよ。 私が帰ってくるまで、あなたは、 このマラッカ海峡で交易をして富を蓄積し、 統治技術を練磨しなさい。
統治技術が4になったら国策がとれます。 そして交易技術が7になったら、新世界への探索、というナショナルアイデアを採用しなさい。
そうすればあなたも、私たちとともに、世界の海に漕ぎ出せるでしょう。
いいですか、新世界への探索、ですよ。
これは約束です。 私たちが帰ってくる頃には、あなたたちは探検家を登用できるようになっているでしょう。 そのときは一緒にメッカを目指しましょう。
忘れないでください。
私たちの合言葉はこうです、――われわれは永遠に世界の海を支配し続ける!」
そして鄭和の大艦隊は西へ去っていきました。
マラッカの王様は、鄭和の言われたとおりにしながら、ずっと彼の帰りを待ちました。
何年も経ち、何十年も経って、マラッカの王様は年老いましたが、それでもずっと鄭和の帰りを待っていました。
側近たちは、言いました。
「王様、もう諦めましょう。 残念ながら、鄭和の艦隊は西の海で凪か嵐に遭って全滅したにちがいありません。 これ以上待つことは無駄な行為です。 海の風はあなたのお体にさわります。さあ、中へはいってください。」
王様は、それでも鄭和の帰りを待ち続けました。
ずっとずっと、待ち続けました。