ヴェネツィアは北イタリアの本土(テッラ・フェルマ)の他、クロアチアのラグーザ、アドリア海の属領コルフ、エーゲ海のクレタ島などの海岸拠点をもっています。 これらの領土からあがる生産による収入は、ヴェネツィア・リグーリア・コンスタンチノープルにあるCOTへの商人派遣に費やされます。 こうして序盤のヴェネツィアは短期のうちにかなりの月収を確保することができます。 この収入は統治技術や生産技術、交易技術に割り振り、さらなる黒字の獲得を目指します。 軍事は海軍を重点的に開発します。 というのも、ヴェネツィアはインノミネから「島のような形状」の地形になったため、海軍をアドリア海に置いて制海権さえ確保しておけば、敵がもし押し寄せてきたとしても、潟の中への侵入を防ぐことができるからです。 こうしてヴェネツィアは安全保障を確保しながら、ぬくぬくと、しかし着実に勢力を伸ばすことができるのです。
さあ、ドゥーチェ、どうですか。 この完璧で漏れのないヴェネツィア共和国千年安心プラン!
「うむ、余は満足じゃ。 このままの調子でいけば、わが共和国は没落しらずでゲームを終えることができるの。」
ところがどっこい、そうは問屋がおろしません。
1460年、ヴェネツィアのライバルであるジェノヴァ共和国が交易禁止令を発動します。 これでリンツの交易中心地をつかうことができなくなりました。 ヴェネツィアはこれまで、自分たちの所有するヴェネツィアCOTの他には同じ北イタリアのリグーリア(ジェノヴァの首都)に重点的に商人を派遣してきました。 商人派遣の費用は、いくら「重商共和国」&「統一的交易方針」のコンボをもつヴェネツィア共和国とはいえ、序盤の経済のうちでは安いものとはいえません。 少ない黒字のなかやりくりをして、ヴェネツィアは商人派遣費用を捻出し、リグーリアにヴェネツィア商人を駐屯させているのです。 このままほうっておけば、リグーリアのヴェネツィア商人は日を追うごとに勢力をそがれ、ついにはリグーリアから追放されてしまうでしょう。
「ならば、受けてたとうではないか。」
ドゥーチェ、格好いい!! われらがドゥーチェは決断なされました。 ヴェネツィアは同盟国とともにジェノヴァ共和国に宣戦布告。 ここに、北イタリアの宿命のライバル・ヴェネツィアとジェノヴァという二大交易共和国がその雌雄を決する戦争を開始したのでした。
ヴェネツィアとジェノヴァはお互い世界有数の海軍国ですから、制海権の一方的な確保は容易ではありません。 アドリア海で両国の艦隊はにらみ合ったまま、時間だけが過ぎてゆきます。
「ええい、まだるっこしい」
お怒りのドゥーチェ。 てっとりばやく戦果をあげるため、ヴェネツィア海軍をロードス島に派遣します。 ロードスには聖ヨハネ騎士団領があり、彼らは遠交近攻という外交の基本戦略に則り、遠くのジェノヴァと誼を通じ、クレタ島をもつヴェネツィアを相手に海賊行為を働いていました。 ヴェネツィアはこれを粉砕するため、約半年かけてロードスを陥落させます。
ところがジェノヴァはヴェネツィアの海軍がロードスに向かった隙を突き、アドリア海に自国艦隊を派遣。ヴェネツィアの潟を包囲します。 ヴェネツィアが本土にわずかに残しておいた防衛艦隊はジェノヴァの海軍の前に壊滅させられます。 これはピンチ! ヴェネツィアの本土には、わずかの傭兵と敗走した艦隊の残滓しかありません。 ジェノヴァは(ヴェネツィア属国の)ミラノ公国を攻撃して西から、そしてハンガリー王から領土通行許可をもらって東から、ヴェネツィア本土に侵攻します。 ヴェネツィアにこれを止める術はありませんでした。
ロードス島を攻略したとはいえ、本土を失ってはなんにもなりません。 ヴェネツィアの十人委員会はすぐさまジェノヴァに講和を打診します。
これは、ヴェネツィアにとって苦い経験となりました。