鄭和がひさしぶりにマラッカを訪れると、 パラメスワラくんが顔をかかえてワンワン泣いていました。
やあ、パラメスワラくん。どうしたんだい? どうせ女性にでもフラれたんだろう。だけど、フラれた原因がその醜い顔にあるんだなんて、勘違いしちゃあいけないよ。きみの独善的な性格こそが、きみが女性に嫌われる一番の原因なんだからね。
勘違いによる決め付けでそこまでいう鄭和さんこそ、モテなさそうな性格をしていると言えるでしょうね。どうせ鄭和さんには悲しみに暮れる心なんてないんでしょうよ。
いやいや、私だってついさっきまで心が張り裂けそうなくらい悲しい気持ちだったが、きみが泣いているのを見て、ふふふ、気持ちが晴れやかになったのさ。
というのも、マジャパヒト王国を屈服させのにぼくにかけられた呪いが解けていないんですよ。
ぼくはいつまでオランウータンの格好をしなければならないのでしょうか。
その話なんだがね、きみに呪いをかけた魔法使いは、マジャパヒト王国が降伏する直前、ジャワ島から逃げ出して、はるか東の大陸に逃げたという話なんだよ。
ところで、鄭和さんは何故悲しんでいたのですか? ぼくも言ったんだから、教えてくださいよ。
じつはね、私のパトロンである明の皇帝が先日崩御されてね。外戚の連中が大航海なんていう金のかかる馬鹿げた事業は即刻中止せよと、裏工作をやっているらしいんだ。おかげで私の宝船艦隊は港に抑留されて、一部は解体、次の航海はいつになるか分からないという体たらくなんだ。
この日、(土着君主を除いた)初代マラッカ国王Hamzah1が崩御。
でもぼくはピンピンしています。どうやらぼくの魂は次代に引き継がれたようです。
ふむふむ。「スルタンHamzah1はマラッカに専制君主制を打ち立て、二度にわたる侵略戦争を勝利に導き、アチェとの短い戦争を成功裏に終わらせた。この外征によってパッターニとクランタンを得る。Hamzah1はカリフの称号を名乗り、貴族制を好んだ。」
1プロヴィンスしかないマカッサルと同盟してるから、この国をブルネイやマジャパヒトの侵略から守らなくて色々と大変なんですけどね。戦争で消耗したキャラック船の補充やら外交関係の再構築やらでこっちも忙しいんですよ。
ブルネイやマジャパヒトとどう戦いましたとか、ミッションに沿って全土に要塞をつくっていく過程とか、あんまり詳しくレポートしても仕方が無いだろう。
なんか、こう、心が躍るような、国家的な大事業というやつはないのかね。
それは早く「新世界への探索」をとって大航海に乗り出せ、ということですね。
鄭和さん、祖国で干されちゃったからって、こんなところで代償行為をしないでくださいよ。
分かりました分かりました。お、1425年に新君主登場です。政治8外交5軍事8の名君ですよ。
そりゃよかったですね(棒読み)。おっ、祖国からなにやら手紙が来ているぞ。
(間)
わあ、驚いた。どうしたんですか鄭和さん。もう1436年ですよ。
前回が1425年だから、もう十年以上も経った計算になったのか、