ラスト・イロコイ・リターンズ 17世紀前半 ヨーロッパ諸国のいなし方
オーストリアはこのゲームにおいて、特にプレイヤーの関与がなければ肥大化しやすい国家の一つである。特に今回は幸運持ちも手伝い、イタリア北部から東の方にそこそこ広い領土を持つ大国となっていた。この時点でのイロコイの動員兵力65000に対し、オーストリアは完全動員で20万弱。兵力差およそ三倍と、正面からぶつかれば全く勝負にならない。しかも、オーストリアはたいていの場合本国に集中的に兵力を配置している。他の国家を相手する時のように、隙を見て守りの手薄な本国を突く、という芸当は通用しないのだ。 では、オーストリアには勝てないのか? 少なくとも、「今は無理」ということになる。しかし、オーストリアは海上輸送能力が脆弱なので、とりあえず海のこちら側にいる戦力さえ叩きつぶせば当分は手出しができない。後はじっと閉じこもって、適当なところで頭を下げて講和を申し込む。今はまだ、我慢のしどころだ。
![]() |
一見勝ち目がなさそうだが、既に弱点は見えている |
その後、ヴェネツィアやカスティーリャといった、「勝ちやすい相手」には順調に勝ち、北アメリカの植民地を順調に奪っていく。相手からの宣戦布告に迎撃して奪っていく形だったが、正直これは余り上手くはない。プロヴィンス1つごとに悪評3は決して安くないからだ。共和制なら共和独裁まで持って行けば帝国主義のCBが使えるので、領地を奪う目的ならこれを使っていけるだろうし、実際この後はしばしば使っていった。 1665年には統治30を達成し、貰えた国策の枠で内閣(悪評-1.0/年)を取る。大使館と元首の能力と合わせ、これで大体年に2点ずつ悪評は下がっていくことになる。DWでは悪評が余り高いと様々なバッドイベントが発生するので、なるべくそれなりの範囲に留めたいところ。
さて、そうやって順調に周囲の敵を減らしていくと、残るのはハンザ、ホラント、イギリス、アラゴン、アイルランドと言った辺りになってきた。ここらで、ある目的の為に次の獲物としてアイルランドを狙うことにした。17世紀後半まで来ると、領土差による両国の国力差がはっきり出てきており、アイルランド一国で抗しうるものではない。
![]() |
あっさり大漁 |
北アメリカの植民地はそのままいただくが、実はアイルランドの領地は別に維持する気はない。……ああ、そう言えばアイルランドさん、前はレンスターだったそうですね。
![]() |
じゃあ、土地を返してあげましょう……レンスターに |
一体何をしてるのか、と思われる向きもあるかもしれないが、実はこれにはある重大な理由がある。それが、これ。
![]() |
属国建国のマジック |
属国を建国すると、恐らくその国が自国と同じ技術グループに属する場合だと思われるが、自国の政体、技術レベル、そして宗教を受け継いだ国家になる。 つまり――シャーマニズムを奉じる国家、レンスター、アイルランドに爆誕。きっとケルト神話に回帰したのだろう。某ゲームのランサー兄貴も草場の影で喜んでいると思われる。 なお余談だが、この後アイルランドを強制併合して残ったアイルランド島のプロヴィンスをレンスターに譲ったところ、即座にレンスターがアイルランド化して一瞬何が起こったのか分からずびっくりした。冷静に考えればアイルランド滅亡+レンスターがアイルランド化の条件を満たす、という至極当たり前の状態だっただけなのだが。
ちなみに、属国作成についてあまり意識されない、というか普段は気にも留めない注意点は以下の二点。
さて、こうしてヨーロッパに「同宗教の島国の属国」ができた。特にイギリスに近いため、対イギリス戦の橋頭堡としては極めて心強い存在になってくれるだろう。そうこうしているうちにクリークとの間に国境線の問題(中核州ゲットイベント)が発生したので、
![]() |
さくっと併合 |
外交併合をした。INまではペナルティが地方分権+1で使いづらかった外交併合だが、DWでは安定度-1に変わっているので、むしろ状況が許すなら積極的に狙っていきたいオプションになっている。……ああ、まあ、土着信仰国家のイロコイには殆ど関係ありませんがね……(外交併合は同一宗教グループでないと無理)。
さて、今回のプレイで強国を八つ挙げるとすれば、
・東欧で確固たる地歩を築くポーランド ・北欧の覇者、ノルウェー ・実力でバルト海を支配するハンザ同盟 ・フランス三国志から一歩抜け出たロレーヌ ・イベリア半島の混沌状態から頭一つ抜きんでたアラゴン
これらの上に、
・海洋の覇者、イギリス ・ヨーロッパ中央の支配者、オーストリア ・肥大化し過ぎてロシアまで突き抜けてるオスマン帝国
の3つが来る。 オスマン、ポーランド、ノルウェーは当面関わらないからどうでもいいとして、問題となるのは残り5つ。特に艦船が100隻を超えるイギリスと常備兵20万(神聖ローマ皇帝になると30万近く)のオーストリアは驚異の一言に尽きる。 しかし、どちらがより厄介かと言えばこれは間違いなくイギリスの方である。海軍は一度壊滅すると立て直しに時間がかかる上、海軍が優勢な国家はどこに上陸を仕掛けてくるか分かったものではない面倒くささがあるからだ。また、いざ戦争時に海上交通を妨げられるのは、少ない手持ち戦力を海上輸送でやりくりしているイロコイにはやはり辛い。 と言うわけで、一度イギリスを叩き、海洋の覇者の座を明け渡して貰うことにする。その為の仕込み……すなわちアイルランド属国化を済ませたのは、前述の通り。念には念を入れてスパイを送り込むと、ブリテン島にいる戦力はおおよそ3万程であることが明らかになった。これなら5万送り込めば勝てるだろうと、あらかじめ5万の兵力と、輸送船30隻を含めた60隻の艦隊をアイルランドに送り込んでおき、いざ開戦。この時、宣戦布告理由には権利章典の国策を持っている時に貰える「解放」を使った。併合国家の解放に必要な戦勝点が半分になる、国家解体戦争(個人的に大国から小国を独立させて弱体化させる目的の戦争をこう呼んでいる)にはうってつけのCBだ。 あらかじめ船団には半数の25000を乗せておき、開戦と同時にブリテンに上陸させる。上陸が済んだら船団は同じ場所に浮かべたまま、第二陣を船に乗せる→上陸。この頃には敵の主力が寄ってきているので合計5万の兵力で叩き、殲滅する。敵の主力艦隊に襲撃されないかとひやひやしたが、船の数でブリテンにいる主力艦隊を上回っているせいか、こちらに襲いかかってくることはなかった(代わりに北米で哨戒していた小規模船団が襲撃された。迂闊)。そして、適当に叩いて、終いにはロンドンを脅かした辺りでとりあえず手打ちとすることに。
![]() |
ちょっと欲張りすぎた? |
5州割譲の悪評20は恐らく悪手。ここはせいぜいウェセックスの一州割譲で諦めた方がむしろ後々の為だったかも知れない。しかしながら、スコットランド、コーンウォール、ブレーメン、ノーサンバーランドを独立させたことによって、イギリスは多くの中核州を失い一時的にガタガタとなった。……これでも「一時的」で徹底的に叩かないと復活してくるのはイギリスの恐ろしさだが……。 ちなみに、ある程度の段階で手打ちとしたのは、やはり兵の損耗がきつかったことによる。陸続きの策源地がないため、一度敗勢になると立て直しが困難になるのだ。奪った領土は、今後の対イギリス戦を見越しての策源地であり、しっかりと防備を固めておくこととする。なお全く余談ながら、ウェセックスにCOTを建てたところ、ロンドンの交易範囲をごっそり持って行ってしまった。イギリス涙目。
![]() |
落日の英国。しかし、陽はまた昇る |
さて、その後すったもんだしていると、1694年にまたオーストリアから宣戦布告を受けた。しかし、今回は以前の時と違い備えがある。 まずもって、現時点でもまだなお、オーストリアと正面から事を構えることは不可能である。戦力は増強し10万を数えるが、こちらはその全てを対オーストリア戦に動員できるわけではない。一方、オーストリアは本国に見える範囲だけで10万近くを確認できる。おそらく、15~6万が本国にいるだろう。では、どうするか。大事なのは、展望の変換である。要は何も相手の強いところに付き合わず、弱いところで勝負すればいいのだ。つまりは――海軍力こそが対オーストリアの要となる。
![]() |
この時のオーストリアの領土。チョークポイントがはっきり見える |
上図からオーストリアの弱点が分かるだろうか? ……そう、アドリア海とリグリア海こそがオーストリアの弱点である。 最初の方で述べたように、オーストリアは陸軍国であるゆえに海軍が弱い。にもかかわらず、僅かながら港を持っている。前回でイロコイの状態として述べたように、この状況は容易に相手の海上封鎖を許す、非常に厳しいシチュエーションなのだ。当然ながら、これを利用しない手はない。こちらのヨーロッパ艦隊を総動員し、この二カ所を封鎖する。これだけで、封鎖率が87.5%に到達した。当然ながら、オーストリアでは厭戦感情がどんどん上がっていくことになる。
![]() |
乾坤一擲の大いくさ? まあ、結果は裏目 |
オーストリアも封鎖を突破しようとしたのか、こちらが一旦封鎖艦隊を港に下げて回復を図ろうとしたところで艦隊を繰り出してきたが、捕まってご覧の有様である。ちなみに、この一戦でオーストリア海軍はほぼ壊滅した。こうして延々封鎖を続けていると、とうとうオーストリアが音を上げた。
![]() |
大変結構! |
クロアチアの独立を認めさせることに成功したのである。これによって、一部とは言えオーストリアの力は削がれることになり、また、とりあえずこの手法で徐々にではあるが、オーストリアにダメージを与えられることも明らかとなった。最終的に完全な勝利を得るには陸軍の拡充は欠かせないだろうが、戦える目途が立ったのは大きい。 確かにヨーロッパ諸国に抗しうる手応えを得たところで、いよいよ終盤、18世紀に突入する。イロコイの戦いはこれからである。
![]() |
1690年のヨーロッパの地図。フランスとイベリアのカオスが見て取れる |
![]() |
いやちょっと、オスマン頑張りすぎ。エジプトはマムルークが抑えており、またペルシャも健在 |