ルイ14世。
この利発そうな少年はルイ14世。フランス王。
当時のフランスはスペイン・ハプスブルク家の圧力で分裂状態にあった。 フランス王はパリ近郊とプロヴァンスの一部を有しているに過ぎず、 王国は、ノルマンディー公、ブルターニュ公、オルレアン公などが割拠する状態にあった。
「兵をあげい」
先頃、元服し、親政を開始したばかりのフランス王ルイ14世は、自ら軍馬を率いて出陣した。 彼は、国内に割拠するノルマンディー公、ブルターニュ公、オルレアン公を討ち、フランスを統一することが自分の使命だと信じて疑わなかった。
17世紀半ばのフランス王国。諸侯が乱立し、群雄割拠の状態にある。
ブルボン朝の青地に百合の軍旗がはためくなか、ルイ14世は実に気持ちよさそうに軍隊を指揮した。 諸侯の足並みは乱れた。ブルターニュ公とオルレアン公は徹底抗戦の構えを見せたが、ノルマンディー公は野戦で敗れると財産をかかえてスペインに亡命した。 諸侯の後ろ盾になっていたスペインは、動かなかった。フランスを分割し、統一の兆しがあればこれを徹底して妨害するというのがこれまでのスペインの国是だったのだが、スペインは当時オスマントルコと戦争中で、それどころではなかったのだ。
ルイ14世と同盟を結んでいた北イタリアのトスカナ大公国は、ソデリーニ将軍に率いられた23000の援軍をフランスに派遣した。 トスカナはミラノやナポリをめぐってスペインと緊張関係にあり、同盟国であるフランスを援助してスペインに圧力をかけるという戦略をとっていた。 ソデリーニ将軍の軍隊はロレーヌ地方の小貴族を攻撃し、フランスを側面から援助したが、ロレーヌの城は堅固で、ソデリーニ軍は多大な消耗を強いられた。 ソデリーニの戦術は拙かった。彼は食料も豊富で効果的な支城に守られたロレーヌの城を力攻めで攻めたが、何度も何度も失敗し、士気が低下したところをロレーヌ軍の反撃にあって敗北してしまった。 23000の兵隊たちが全滅し、ソデリーニ自身もこのいくさで負った傷が原因で陣没している。
17世紀半ばのフランス王国。フランスは諸侯をくだした。
数年間続いた戦争ですっかりフランスは荒廃した。傭兵たちが各地で略奪をはたらき、農村は疲弊する。
しかしフランスがこの戦争で得たものは少なくなかった。 ルイ14世はノルマンディーを併合し、ブルターニュとオルレアンを降伏させた。 彼は15世紀以来、再びフランスの大部分を統一した偉大な王として、「太陽王」と称する。
ルイージ・ソデリーニの戦死
フランス戦争によって摂政ソデリーニが陣没したことは、イタリア情勢にも影響を与えた。
これまで摂政に実権を握られていたトスカナ大公アレッサンドロは、いよいよ親政を開始する。 アレッサンドロの野心はイタリア統一にあった。そのためには、スペイン王が領有するミラノを奪回しなければならない。 同盟国フランスの統一は、来るべき対スペイン戦争にとって明るい材料だった。 陸軍国トスカナとフランスが同盟すれば、陸ではスペインにも十分対抗できよう。
だが、海では?
スペインはイベリア半島を拠点に、ブルゴーニュ、南イタリア、新大陸と巨大なネットワークを築いている。 スペインの海上封鎖と海上輸送に対処しなければ、対スペイン戦争で勝利を得ることは難しい。
強い海軍が必要だ。
[[続く>]]