海を渡る大名(9)

ビコルカバディ定家列伝

橘定家は橘宗家の次男として生まれたが、将軍家のしきたりに嫌気がさし、いつも脱走ばかりしていた。 定家は自由を求める男で、そのような仕来たりや掟などは定家を苦しめるものでしかなかった。 親もほとほと困り果て、元に置いておく事を放棄し、分家に養子として出されたのだった。

退屈な日々を過ごしていたある日、九州にカトリックなる宗教が伝播してきたことを知る定家。 定家は宣教師とも呼べぬ狂信者に接触を図り、海を越えた世界のことを聞いた。 自由を求める定家にとっては挑戦と冒険と未知なることに興味を持ち、 定家はまだ見ぬ土地に心を躍らせ夢に打ち震えたのは当然のことだったと言える。 定家は若くして誓うのだ。将来、この海を越えるのだと。

数年後、我慢が出来なくなった定家は家臣たちの目を盗み、入植者達の船に乗り込む。 本来ならば露見し、失敗してしまいそうなものだが、分家の養子であり放置されていたこと。 橘氏族がカトリックに改宗したてで、国内の神道勢力を押さえつけるために力を裂いていたこと。 定家自身が才能に優れ、追っ手を上手く撒くことに成功したこと。 何より、入植者達がふとしたことで定家に気を許し同行を拒まなかったこと。 などにより、定家は入植者としてフィリピンの地に降り立つことに成功してしまう。

そこでビコル族の女性に一目惚れ、都市を作る傍ら結婚までしてしまうのであった。 その際、橘の氏を捨て、土地と先住民から与えられた名を組み合わせて「ビコル・カバディ定家」と名乗ることになった。

このまま何もなければ仲良くビコル族の下で過ごしたのであろう。あるいは船に乗って新世界へ出かける一人の冒険者として名を馳せる程度だったのであろう。

しかし、ある年、橘宗家が断絶してしまうことになった。後継者たる宗家の男子がいないのだ。 遠縁には橘氏族の者はいる。ただし、大名同士で婚姻関係を結んでいた為、他大名の血縁が強い。このままだと他大名に将軍を乗っ取られるようなものだ。 家臣たちはすったもんだの末、養子に出した定家を見つけ出した。

宗家の血を引く定家だったが、すでに改名済みであった。 家臣たちは元の橘氏に戻ることを懇願する。 しかし、定家は先住民達の友好の名であり、妻の性を捨てるわけにはいかないと 「ビコルカバディ定家」の名のまま将軍位についた。

無論反対するものも多かったが、定家は優秀であった。(能力:7-7-8だしね!) 瞬く間に反対勢力を抑え付け将軍の座に正式に就任したが、氏族内には露骨に不満を見せるものも少なくなかった(正当性20)

数奇な運命をだどり、将軍ビコルカバディ定家の列伝は今また再び始まるのであった。

という妄想の元、将軍ビコル・カバディ定家は生まれたのだと脳内保管することにした。

以下、執筆中。


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