ばーん、閣下! オスマントルコが宣戦布告してきましたぞ!
「何だって?」
残念なお知らせです。 楽しい楽しい貿易の時間は終わりを告げました。 つらいつらい戦争の時代が始まります。
相手はオスマントルコ。 ビザンツ帝国を滅ぼした後、ペロポネソス半島南部のギリシャ系諸公国を併合し、バルカン南部の覇者となったトルコは、とりあえずエーゲ海を自分とこのバスタブにしちゃろうと、クレタ島やナクソス島、キプロス島に勢力を伸ばしていたベネツィア共和国に宣戦を布告してきたのでした。
「そんなバカな! こんなことは聞いておらんぞ。 リロードだ、リロード! パソコンの再起動ボタンを押したまえ! うわーん、うわーん」
閣下、気持ちは分からないでもありません。 でも、歴史は何が起こるか分らないから面白いんじゃあないんですか? さあ、元気をだしてください。 勇気をふるいおこしてください。 傭兵たちに号令をかけてください。 海軍に出航の合図をおくってください。 法王庁に使者をつかわして、最後の十字軍を発動させてください。 閣下、閣下がこれからなさろうとする異教徒討伐の大戦争に、全キリスト教世界が注目していらっしゃるのです。 さあ、立って、前を見て、顔を引き締めて、身なりをととのえて、一歩を踏み出して、行こうではありませんか! 第八次十字軍のはじまりです! 第二次ラテン帝国を、異教徒が闊歩するコンスタンチノープルに築こうではありませんか!
「むむむ。おら、なんだかやれそうな気がしてきたぞ!」
十人委員会におだてられた元首フランチェスコ・フォスカリは、ヴェネツィア海軍三十隻弱の艦隊を率いてアドリア海南部のコルフ島に向かいます。 コルフにはヴェネツィア属国下の公国がありましたが、非常時だということで、ドーチェはこれを外交併合なさり、コルフ島をトルコ領バルカンの前線基地に改築してしまわれました。 同じようにナクソス島やキプロス島にも海軍が派遣され、海上護衛のもと、これらの島はヴェネツィアの海上拠点として、これから長らく続くことになる対トルコ戦争の最前線基地となるのです。
「おらー、やったるでー」
1462年、元首自らが率いるヴェネツィア軍(半分以上が傭兵)はペロポネソス半島南部に上陸、プロヴィンスの占領作業にはいります。 現在のギリシャ領の三分の二あたりを占領することに成功したあたりで、トルコ軍が半月刀を手にもってやってきます。「わりいコはいねえかあ。」 ヒゲの軍団はコンスタンチノーポリ、連中のいうところのイスタンブールで訓練されたトルコ騎兵隊とイェニチェリ軍団です。 率いるはトルコの名君ムハンマド二世。 いにしえの預言者の名前を冠し、ビザンツ帝国を滅亡に追いやったヒストリカルリーダーです。 ヴェネツィア軍とトルコ軍はギリシャで激突します。 しかし衆寡敵せず、一週間の戦闘ののち、わが共和国軍は敗走。
「やーらーれーたー」
元首フランチェスコ・フォスカリは戦場の混乱のなか行方不明、傭兵隊は壊滅、わずかに残った正規軍はコルフ島に落ち延び、島民にトルコ軍のおそろしさと残虐さについて滔々と語り、住民を恐怖のずんどこに陥れました。
十人委員会はすぐに新しい元首を選びましたが、前回の教訓を踏まえて、これを将軍として前線に派遣することは控えます。 さらに共和国は、戦術を変えます。 バルカン南部に陸軍を送り込み、巨大なトルコ軍と殴りあうのではなく、海上戦力の優位を活かしてトルコの主要港を封鎖し、経済に打撃を与え、住民生活を窮迫させ、トルコの厭戦感情を煽り、有利な講和に持ち込もうという作戦です。 ヴェネツィアの国立造船所はフル稼働でガレー船を建造しまくります(ヴェネツィアはナショナルミッションで国立造船所が建造でき、ガレー船の建造日数を約半分に減らすことができるのです)。 こうしてできたガレー船を中心としたヴェネツィア海軍は、優秀な提督に率いられ、トルコの領土封鎖と海上戦力の撃滅を目指して、ダーダネルス海峡へと舵を切ったのでした。