伝 フェデリーゴの肖像画
1535年夏。 この頃、前摂政ルクレツィアは流行り病を得て表に出なくなる。
床に伏しがちとなり、 顔色はそれ以前の美しい白肌と比べても一層白く、 透き通る程になっていた。
熱に苦しみ、また咳き込みがちではあったが、 不思議と当人の心持ちは明るかったようだ。
うわ言も苦しみを訴える内容のものではなく、
「もうすぐ、もうすぐまた会える・・・・・・」と 喜びの色のあるものだったらしい。
その死の直前、フェデリーゴ公が彼女の元を訪れて人払いをし、 長い時間語り明かしたとの記録が残る。
その内容については同時代ですら不確かな推測に依るしかなく、 今となっては完全に失われてしまっている・・・・・・